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『彼女について』 哀しみではなく愛の 果て
評価:
よしもと ばなな
(2008-11-13)
コメント:愛について すとん と信じられた頭で理解したのではなく感覚で 。

JUGEMテーマ:読書感想文
 
新幹線のこだまに乗って品川から浜松に帰る途中、
いろいろな感傷のせいか自分の思いがまるで小説のように言葉となって表れた。
それは断片的なフレーズばかりで個人的なものから抜け出せないかもしれないけれど
そのときはまるで小説家になれそうな気がした。

私のフレーズはしかし今まで好んで読んできた小説の集積だ。
しゃべり言葉よりも書き言葉はより、好きな本なんかに影響される。


そして、久しぶりによしもとばななの本を読みたくなった。

それも何度も繰り返した家にあるものではなく
まだ読んでいないものを、ハードカヴァーで、家でゆったりと読みたい。



数日後に本屋に行って購入したのは、よしんもとばななが昨年出版した
『彼女について』 だった。


子供の頃、エキセントリックな母親が降霊をしている最中、父親を刺し、自殺した。
主人公の由美子はその出来事の後の幼い頃の記憶があまりない。
ある日、母親と双子だったおばさんの息子、つまりいとこである昇一が、母親が亡くなりその遺言として、由美子を手伝いにきた。
そして二人の過去を辿る、旅が始まる。


物語の内容はあまり語る必要がないように感じる。
ここで、この小説のこの部分が良かったからいいよ!なんて言ってたまるかって感じ。

しかし、自宅で予定通りゆっくり読んで、こんな気持ちのときにこの小説をこの環境で読めたことに運命すら感じた。
読み終えたあと、私はまだ明るい家の庭に出た。
実家の犬が寄ってきてぎゅっと抱きしめた。
犬はもぞもぞしたけどその暖かさや、日差しや、足や手の感触や庭の木や草の色なんかがいつもよりしっかりと感じられた。

私は視力が落ちてからもなお、眼鏡をいつもかけているのが嫌で裸眼で過ごしていたため、もう長い間どこかぼんやりとした世界で生きているような気がしていたが、
そうではなく、しっかりとここにいることが頭ではなく体で感じられた。


よしもとばななの小説はいつもそうだ。
頭で理解するのではなく、体の、ちょっとした感覚の表現に共感する。
そしてリアルタイムで起こる激しいことに対する感情を書き、盛り上げるのではなく、
そのあとの、(ある意味で)落ち着いていく人の感情を、とても丁寧に描く。
だから特殊な設定はあるのだけど、こんなにも気持ちを投影できて
ちょっと泣いてしまったりするのだろう。
そして物語に出てくるパエリアなんかが、とても美味しそうに思えたりするのだろう。


彼女について、
由美子にとって、母について、おばさんについて
そして由美子自身について。

哀しい事件のあとを辿っていく果てに辿りつくのは哀しいことではなく、
哀しいことっていうのは事実でしかなく、
事実を囲む人の感情なんかは
哀しいことだらけなはずはないのだ。
言葉で表そうとするとそれは、愛、と言える。

愛は人を幸せにする
というようなことが、すとん、と信じられるお話 だった。
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